夢幻幾何 |
序節 |
昇る二つの日が、地平から離れて暫く。 西方大陸はやや西寄り、大陸を南北に分断する険しい山の麓を背にして広がる街並を、朝焼け色を脱した白い陽光が照らし出す。 山沿い、同じく山を背に扇状に広がる大都市・魔都スフィラストゥールから、午前の荷を運ぶ一団が出発する頃。 機動生命体と異星人――惑星ティーリアの人々から『来訪者』と称される者達のために用意された滞在地もまた、本格的に活動を開始する。 いや、所によっては。 夜通しの作業を終え、これから休息に入ろうというのか。隈をこさえた目元を擦り、止まらない欠伸を繰り返しながら、宿舎へ重い足取りで向かう者もある。 ……寝不足であるにしても、余りに陽光が眩しい気がして。 はたと振り返った東側は、何処か物足りない荒野の景色。ああ、今日は早朝から訓練をしているのだったか、と。物足りなさの原因が、停泊する機動生命体の数が少ないせいであると、欠伸の裏に過ぎる思考。 そうして、眠りへ向かう者とは入れ違いに。 朝食を済ませた者が、溌剌とした様子で己の持ち場へと向かう。 創られてから、まだ数ヶ月程度の小さな街並。それでも、住む者が現れ、働く者が現れ……段々と、見慣れてきた光景。 だが、ようやっと馴染み始めた日常が、この日、俄に崩れ去る。 真っ先に報せを受けたのは、『機動魔閃護撃士団』であった。 高高度にて実習訓練中であった者達から、本部へと届けられる危急の精神感応。 『侵略者襲来』――警報とも言えるその報は、本部待機中だった護撃士団員から、滞在地に居を置く者達、そして、彼らを介し各都市の騎士団、騎士団を束ねる都市行政部、更には各都市に拠点を持つ様々な組織へと、急速に広がっていった。 滞在地の護撃士団本部とその周囲には、非番の団員を含めた地上待機中の者が一同に介し、同じく滞在地に居を置くラボ――『魔鋼研究所』にも、一段落がついて床に就いた筈の研究員や協力者らが、眠気も吹き飛んだ様子で駆けつける。 上空からの報によれば、今はまだ、侵略者襲来は前兆程度であるという。 だが、戦闘が発生し、襲撃が本格化するのは時間の問題。音沙汰の無かった数ヶ月、時間を掛けて準備された敵戦力は相当な規模と予測され、上空の同志のみでの完全殲滅が困難を極めるであろう事は、想像に難くない。 そして、それら一連の報は、機動魔閃護撃士団に籍を置く騎士や、ラボに出向中の研究員らから、通信魔器や念話の術を介して各都市へ届けられる事となる。 遂に来たこの時――故郷を、惑星ティーリアを護る為の戦いを目前に、慌しさを増す地上。 都市は、そこに根付く者達は。 今再び、青い空を蹂躙せんとする無機な生命に、どう立ち向かうのか。 |
文末 |
次回行動指針 |
M1.防衛専念 M2.地上からの迎撃法を考える M3.開発に勤しむ |
登場しなくてもその辺に居そうなNPC |
エリーヌ・ゴシュガンク/真澄雁九朗(ますみがんくろう)/ミシル・ミーミット/フリド=メリクリア/オペレートアーム/くり |
マスターコメント |
ようこそ惑星ティーリアへ。 本シナリオの舞台は主に惑星ティーリア。地上が舞台という性質上、迎撃や防衛を主眼に置いた展開になると予想されます。活動の場も、来訪者滞在地の他、地域説明に名の挙がっている主要六都市など、比較的に力のある組織や集団に寄ったものとなりそうです。 各種開発業務や、前線で戦う仲間の支援なども、主にこちらで取り扱うこととなるでしょう。 地上、惑星ティーリアはどのような未来へ向かうのか。 連なる無限の歯車を、その手で回してみてください。 |