黄昏幻日
第七節
 西方大陸の西。大陸を貫いて南北に延々と連なる山脈、その向こう側に広がる魔の領域。
 山に隔てられた大陸西側全てを占め、森と荒野の点在する、人の住めぬ世界……の、一角から、何やら賑やかな音が聞こえてくる。
 来訪者らの為に用意された滞在地から見て、丁度真西。
 標高千メートルを数える山並みを越えた先の様子は、山裾の滞在地から肉眼で確認することは叶わないが――
 薄く天を覆う曇り空に浮かぶ、幾つもの巨影。それらが動く度に、青やら赤やら黄やら、様々に空を彩る噴炎。旋回の度に風切る鋭い音が空を裂き、金属の体躯が駆動する度に高く低くと硬質で機械的な音が鳴り響く。
 魔の領域上空を縦横無尽に飛び回る、機動生命体の一団。
 何処かぎこちない動きをしたりしなかったりしつつ、弾丸を放ったり、ミサイルを発射したり、光線を撃ってみたりしているのは、彼らが『第一回実習訓練』の真っ最中だからである。
 搭乗者の居る機体、居ない機体に別れ、あちらこちら飛び交う巨躯。
 無人の機体は如何にも機械と言った様相で、実にきびきびと無駄の無い動きをする一方、誰か地上人を乗せている機体は、時々妙な動きを見せることがある。それは、機体自身が判断して取ろうとした挙動と、搭乗者が判断して行おうとした行動とが異なる折などに発生する、いわば誤差のようなもの。我の強い機体に我の強い奴が乗り込んでいたり、相乗りで搭乗者同士の意思疎通がいまいちだったりすると、ぎこちない動きになる事もしばしば。
 特に、我の強さに定評のある魔物狩り……『辺境戦隊あらくれーず』などと呼ばれているような者同士が相乗りなんてしていると、かなり荒ぶった動きになり易いようだった。それはそれで、敵からするとトリッキーで掴み所が無いともいえそうだが……仲間への誤射も起き得る乱戦時のことを考えると、荒ぶり過ぎるのは余り宜しくない。
 そして、そんな荒ぶる有人機に対峙する、無人機団体の先頭に。
 丸みを帯びたお尻と、対照的に、やや細長く突き出た前部。先端に返しの付いた寸胴フラスコにも似たシルエットを持つ一方、体側が陽光と垂直に交わる時に落とす影は細長い。機体の大きさは、集団の中でもかなり小振りで、背面に控える戦艦と比べると、少々可愛らしくも見える。
 白と黒のツートンカラーに、赤いラインが映える巡洋艦――今は『実習教官』なスゥイの姿があった。
 小振りといっても、それは機動生命体全体での話。優に290mを数える体躯は、人から見れば十分に巨大だ。そして、そんな機体の一部、無敵装甲に覆われたお尻の部分に……何か、刺さってる。
『コレに当ててみな』
 精神感応で、同胞を介して搭乗者へと届けられるスゥイの声。
 実習生として参加中の吠は、今日のお相手である戦艦のコアの中から、その様子を見遣って青い瞳を瞬く。スゥイの言う『コレ』。何だかひらひらしているようにも見えるが……
「あれ何、旗? ……ちっさ! あんなんほんまに当てられるん?」
 大きさは、自分の元の姿――ざとうくじらの時と同じ位だろうか。とはいえ、数百m級のお尻にちょこんと付いていると、比率の関係で凄まじく小さく見える。
 基本の武装がまだまだ上手く扱えていない吠にとっては、小さ過ぎると言って過言ではない的。静止していても、当たるかどうか余り自信が無いというのに……スゥイは、じっとしていてはくれない。
 しかも、彼は機動生命体の中でも、機動性に優れた巡洋艦である。
「ちょ、早い、早過ぎるて! やーもー何処狙ったらいいかわからへんー!?」
 紫の噴炎を吐き出し、縦横無尽に旋回する機影。
 器用に機体を傾けて平たい体を上手く使ってやり過ごしたり、側転でもするようにきりもみ回転し真横へ回避行動を取ったり、水平飛行していたのが唐突に直角上昇を始めたり。
 虎の子の高出力噴気孔が未使用であることから、スゥイとしてはこれでもまだまだ手を抜いているようだが、何分、本物の機動生命体の動きを目の当たりにするのは初めてのこと。時に残像すら生み出しかねない無機質で機敏な動きには、まだ要領の掴めていない実習生の多くが苦戦を強いられる。
 他にも、スゥイの呼び掛けに応じ集まった僚機らが、同じように旗を貼り付けて逃げ回っていたり、基本武装の使用練習を重点的に行っている実習生相手に、静止したままサブアームに持った旗を振ったりして的役をやっている機体も居た。
 一方で、上手く魔術や必殺技を用いて命中精度を上げたり、搭乗機の性質を活かして手数で勝負を仕掛けたり、ドッグファイトに持ち込もうと挑んでくる、血気盛んな実習生も。
『おっと。中々いい動きをするヤツも居るな』
「大丈夫ですか?」
 実習という事もあり、全機、武装の威力は最小出力にまで落としてあるものの。たまに、装甲部分に光線や魔術が被弾する度、搭乗中のアウィスが物憂げな眼差しを覗かせる。
『無敵装甲だからな、これぐらいどうってことないぜ』
 文字通りに無敵を誇る外装・無敵装甲。同胞の光線や実弾兵器ですら、この外装を傷つけることは出来ず、機動生命体同士の戦いの際は、互いのコアを如何に狙い撃つことが出来るかが鍵となる。
「でも、コアに当たれば危ないのでしょう?」
『確かに、オレ達の身体の中じゃ、コアは一番弱いところだが、それでも並の金属よりは丈夫なんだぜ。大口径でもない限り、一回やそこらじゃやられないから安心しな。それに、何かあっても、オマエがいるしな』
「もう。いきなり何かあっては困ります」
 信頼されているのは嬉しいが、実習で自分が全力を出すような事態にだけは、なって欲しくない。だが、実戦を想定するなら、被弾を前提とした訓練もしていかねばなるまい。訓練参加者の錬度が上昇すれば、被弾数は更に上がっていくだろうし……訓練後、消耗した機動生命体達へのサポートやケアについても色々と考慮する必要があるなと、アウィスは教官役として立ち回るスゥイを見守りながら考える。
『いいか、オレ達……今、オマエ達と居る機動生命体は自分の意志で自由に動いてるが、母星から襲ってくるヤツらは部下を連れて団体でくる。孤立すると囲まれてあっという間にやられちまうぞ』
 惑星ティーリアで最大の脅威ともいえる魔物は、基本的に単体で行動している。先日の魔物大侵攻時のようなものは例外的なもの。だが、それでも、数が多いというだけで、魔物同士が連携を取ったりと言ったことは殆どない。結果的に連携に似た状況が起きた、というのなら皆無ではないが、意図的にというのは極々稀だ。
 対する機動生命体は、基本からして連携してくる。一対一の対決であれば、搭乗者の持つ能力の分だけこちらが有利にもなりうるが、敵が正々堂々勝負してくれるような手合いかといえば、そうではない。侵略者らは自身の損傷など度外視で、忠実に目的を遂行するように作られている。躊躇も容赦もなく、自己犠牲すらも厭わず挑んでくる、意志をもった兵器そのもの。敵とみなした相手の撃破・殲滅のためには、己や同胞を捨て駒にする事に一切の感傷も迷いも生じないのだ。
 でも、だからこそ。スゥイ達離反勢力は、そこまでして徹底的に侵略を行う事に疑問を覚えた。
 現にこうやって、一緒にやっていけているじゃないか。
 絶対、惑星ティーリアと、そこに住む皆、そして、一緒に戦おうという者達を、死なせてはいけない。そのためにも、彼らを立派に戦えるように、自分の手で自分の故郷を守れるように、してやらなくては。
 見目には無機質な、白黒塗装の金属。触れば冷たい体躯とは裏腹に、灰色のコアの中に灯る熱い想い。それだけに、実習教官としての指導にも熱が入る。
『よし、攻守交替だ。今からオレが攻撃するから避けてみろ』
 全機への精神感応での通達と共に、俄に動き出すスゥイの装甲。
 曇天の空に轟き響く駆動音。上下に掻き開かれてゆく、サイバーカラーの巨躯の中、側面装甲に隠されていたレーザー砲、前部装甲からは主砲・イオンスフィア砲が姿を現す。丸いシルエットだった後部装甲までもが、鳥の尾羽のように大きく広がって開き、まろび出た六基ものサブアームが、孔雀が飾り羽を広げたが如くツートンカラーの体躯を彩る。
 刹那、スゥイの噴気孔が、紫色の炎を噴いた。
 装甲全開状態からの、全速横回転。しかもその状態から、装甲内の二門のレーザーが光線を撒き散らし、暴風雨のように前後左右から降り注ぐ。
 かと思えばいきなり慣性を無視するかのような空制動で鋭角旋回、真後ろから襲い掛かってきて、サブアームでそふとたっちしてまた離脱していく。
「ええええ、まって、まってまって、どないなってるん、どこにおるん!? どっちいったらええのんー!」
 予想外の猛攻に、吠は思わずびびりながら大興奮。
 他の実習生も、必死に動きはするものの、殆ど本気で仕掛けてきたスゥイの動きにはついていけず、レーザーの雨を食らったり、サブアームでぺちぺちと肩でも叩かれるように触られたり。横を掠めるようにすっ飛んでいった! と思ったら、時間差で後ろからミサイルをぶち当てられたり。
『完全に避けなくてもいい。コアに当たらないように、上手く身体をずらして、無敵装甲で防ぐんだ』
 ほんの数分間の、嵐のようなスゥイの攻撃。
 無論、無敵装甲がある限り、被弾による被害はないも同然ではあるのだが。
 一頻り攻撃を終えたスゥイの体躯が、また駆動音を轟かせる。広がっていたサブアームはするすると背面へ吸い込まれて消え、大きく広がっていた外部装甲が閉じて、見慣れた平たいオメガ型のツートンカラーがそこに浮んでいる。
「やぁもうびっくりしたぁ。まだ心臓ばくばく言うてるやん。いつかあたしもあんなん見えるようになるん? 想像できへんわぁ……」
 想像以上のスリリングな体験に、逆に楽しささえ覚え始めている吠。
 ちなみに、スゥイの攻撃形態全開モードを初見で見切ることが出来た実習生は一人もいない。まさに『初見殺し』の面目躍如である。なお、二回目でも見切るのは困難を極めた。彼を攻略するには相当回数の試行錯誤が必要そうである。
 とはいえ、流石に全力で動き回ると消耗も激しい。巡洋艦は他の戦闘向きの艦に比べるとエネルギー量が少ないため、致し方なくはある。
『一旦休憩するぜ。暫く自習しててくれ』
「ん、今日の相方さんはまだまだ一杯エネルギーあるみたいやし、今のうちに思いついたこと実験してみよ」
 思い立ったが吉日とばかり、吠は訓練参加前に考えていた増幅超音波による索敵を試してみようと考える。
 先ずはどうしようか。元の姿に戻るイメージで――そう考えた途端、乗り込んでいる戦艦の外装が、駆動音とはまた違う何か妙な音を立てて動き始めた。
「わ、すごいなぁ! え、これ、あたしがやってるん? ほんとに?」
 見る見るうちに、ざとうくじら型に変わってしまった外装。駆動部を考えれば、本来ならありえない形への、完全なる『変形』に、吠の興奮もまた鰻登り。淡々と事実を受け入れていたダークネスとは大違いである。
 これならできる気がする! 湧いてきた自信と共に、意識を集中し……発する強力な超音波。
 人には聞き取れない、高音域の波が、全方位に向けて広がり、そして、吠の元へと戻ってくる。
 瞼を閉じた視界、暗い脳裏に三次元に浮かび上がってくる、仲間達の輪郭と配置。
「やった、できるやん♪ でも、判るん形と距離だけかぁ、敵とか味方とかを見分ける工夫もせんと……うん?」
 随分遅れて、戻ってきた音波が、吠の脳裏に捉えたものの位置を示す。
 なんだろう、訓練で集まっている皆とは全然違う位置に一機だけ、ぽつんと誰か居るような……?

 魔都スフィラストゥールの西。西方大陸を跨ぐ山脈の唯一の切れ目である渓谷。
 渓谷の終点、山裾の切れ目には、鬱蒼とした森が広がっている。
 ……と、言われてはいるものの。
 放っておいても魔物の側から頻繁に訪ねてきてくれる手前、騎士や魔物狩りがそんな深い場所にまで御出迎えに向かう必要性は皆無。それ故、渓谷深部に至り、その光景を目にした者は居ない――少なくとも、ダークネスが知る範囲には。
 又聞きでなら、そうらしい、と言う話は耳にするが。それは所謂、『友達の友達が聞いた話』程度の、確証のないもの。信憑性については、いわずもがなである。
 そも、山脈の大きさを鑑みれば、渓谷を抜けきるだけでも数時間は掛かるはず。その間、襲ってくる魔物を倒しながら進まねばならぬわけで……行ったはいいが帰ってこれなかった奴くらいは、居るのかも知れない。
 それが、今は、いとも容易く。
 空色の噴炎を吐き出し、滑らかに空を行く、灰と漆黒の巨大円盤。ランドルト環状の中心装甲の真ん中に据えられた紺藍の半透明越しに、初めて見る景色が広がっている。
 延々と広がる森は、何処か黒々として。かと思えば、まるで穴でも空いたように、森の中に荒れ果て赤茶けた荒野が広がり、かと思えばまた、緑険しい森が広がる。森と荒野の境目は、線でも引いたようにくっきりしている所もあれば、合間に草原や水辺が挟まって、段階的に移り変わっていく場所もある。
 何にせよ、スフィラストゥールのある山脈東側大部分が乾燥地帯に覆われていることに比べると、中々に表情の豊かな光景だ。上空も先程から、曇ったり晴れたりを繰り返しているし、雨が少なく水源を地下に頼っている東側とは、随分雰囲気が違う。
「こっち側は、こんな風になってるのか」
 かくして、バリケートを作り、必要分の『餌』を入手終えた二人――ダークネスと、彼をコアに乗せたテトテトラは、渓谷伝いに西へ進行。こうして、魔の領域へとやって来たのであった。
 興味津々、とまでは行かずとも、多少、感心はした様子で眼下の様子を眺め見ているダークネス。
 ……それにしても。
 先程から、何やら遠くのほうで微かに、賑やかな音がしているような。
「魔物でも暴れてるのか?」
 姿が全く見えないのに、音は確かに聞こえる。とすると、相手はとんでもない大物で、しかも、音の具合からして、結構な数。
 もし、これが魔物大決戦の喧騒だとすれば、魔の領域の奥にはとんでもない大物がひしめいている事になるが……
『スゥイがみんなと来てるって』
「ああ、例の訓練か」
 成程、それは賑やかなはずだと、合点がいったように音のする方に視線を投げる。先日、防護門前で戦った際も結構なものだったが。あの巨大な機動生命体同士が複数でドンパチやらかしているのなら、この喧騒も道理だ。
『ネスも行く?』
「お前さんがやるなら付き合うが」
『じゃあいいや』
 外周に浮ぶ、円弧状の二つの装甲をくるくると回し、更に奥へと進んでいくテトテトラ。
 何処かのんびりした空気さえ漂う二人の遣り取りだが。外装から伸びるテトテトラのサブアームには……魔物が一体、携えられていた。
 時折、全身が萎縮したり痙攣したりと、思い出したように何かしらの動きを見せている所からして、一応は息があるらしいが、半死半生、瀕死と言って差し支えない状況だ。
 魔物はそれ一体だけではない。残る三つのサブアームにも、原型を留めていない肉団子状のもの、半分千切れて無くなっているもの、形は残っているがぴくりとも動かないもの……状況様々な魔物共が、それぞれ携えられている。
 ……無論、こいつらは皆、防護門付近で集めた『餌』用の魔物だ。
 あの時、ダークネスが生やした棘状の外装には、はやにえだか串団子だかといった有様で、魔物の亡骸が三つ四つ突き刺さっていた。結構な豊漁だったようである。
『魔鋼もあるんだよね。とびっきりで沢山。噂の立つところに煙ありってやつだね。違う?』
「お前さん、意味は通じなくもないが、毎回何か混ざってるな」
『沢山あったらふがしの塔も守護塔になるのかな』
 実現できるのであれば、ダークネスとしても、ふがしの守護塔化は早々に達成したい所ではある。
 何にせよ……渓谷を抜けて暫くした辺りから、妙に強い魔力をひしひしと感じる。魔鋼鉱脈があるという『噂』は、どうやら単なる噂ではなさそうだ。
 ダークネスの感知した魔力の流れを頼りに進路を定め、空色の噴炎を吐き出して進むテトテトラ。やがて、訓練の音が聞こえなくなってくる頃合に、真下の森で騒ぎ立てる声が聞こえてくる。
 魔力の強さと、魔物には、やはり関連があるのだろうか。魔力の強い方向へ進むほど、遭遇率が上がっているような気もするし……それとも、偶然なのか。咥え煙草から白い筋を棚引かせながら、逡巡と共に腕組みして、ダークネスは眼下で騒ぎ立てる魔物の様子を見下ろす。
 今は、三、四匹が、何を目当てにしているのか良く解らないが、互いに争っている様子。一応、全部魔物のようではあるが……此処では、他の普通の生き物はどうしているのだろう。それとも、全てが魔物なのだろうか。魔術院などの専門機関がどこまで研究しているのかはよく知らないが、今までは倒すべき敵として捉えてきた相手。生態については、全くと言っていいほど情報が無い。
『餌投げてみるよ』
 逡巡の間に、持って来た魔物の一つを、テトテトラがぽいっと投げ込む。
 途端に、一匹が降って湧いたご馳走に喰らいつき、そいつに向かって別の一匹が襲い掛かり、それをまた……と、餌の取り合いが始まる。
 そのうち、一匹がやられ、哀れ新しい餌と化す。
「……この場面だけなら、過激な弱肉強食、程度なんだがな」
 だが、こんなに過激に共食いをするのなら、もう少し数が減っていても良さそうなものだが。
 一体、奴らは何処から湧いているのか。
『目に見えて変化するって事は無いのかな? 魔力の変化はある?』
「地形から感じる魔力が強過ぎて判らねぇな。近づいて確かめてみるか」
 無精髭の生えた顎を軽く擦りつつ。
 ……何だか、長期休暇の自由研究を手伝っているかのようだと、なんとなく微笑ましい気分になるダークネス。目の前で繰り広げられている光景はちっとも微笑ましくないが。
 コアから伸びる光を辿り、暴れて食ってと荒れ放題な魔物の真上へと姿を現す黒い軍服。
 とばっちりを食わぬようにと留意しつつ、ダークネスは漆黒の翼を羽ばたき、少しずつ魔物らへの距離を詰めていった。

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